ーー某年某月、僕は油そばに出会った。
あれは確か去年の年末だったと思う。
両親が関西の奥地に帰省している中、親不孝者の僕は都心の街をほっつき歩いてた。まともな人間の大部分は大宮とか西川口に帰ってるのか、大通りを歩く人々は、帰るところを探す犬みたいな雰囲気を醸し出していた。普段は煌々と夜を照らしているビルやお店とかも、この数日間だけは暗闇に混じっている。とにかく空気に温もりが無くて暗い。
なんて変な顔に似合った変な感想を頭の中でグルグル考えながら、夕飯を食べれそうな飲食店を探して足を進める。
ふと、一つの店が目に留まった。「油そば 鈴の木 」
♡油そば屋専門店のメニューは高すぎる♡
油そば屋行って券売機と睨めっこして値段を確認する度に高い高い高いありえないと思い、踏んで縛って叩いて蹴ってじらして吊るして即出禁110番逮捕パトカー勾留書類送検されてしまう。
いや正直に言って後半は盛ったけど本当にそんな感じだ。気軽に行ける距離にある油そば屋は一番安いので1000円、オススメメニューは1200円もする。
別に値が張ってもそれなりに美味しいなら良い、でも実際に出てくるのは「これカップ麺でも良いな...」という出来合いの物ばかり!
油そばは定期的に食べたくなるチープでジャンクなフードなのに、食べる為に客の足元を見ているとしか思えない値段と出来栄えでぼったくらんとする油そば屋に行かないと行けない構造はまさに資本主義の歪みを象徴していて政府には是正する義務があると思います。時代が時代なら打ちこわしや陸軍の青年将校が良心に基づきクーデターが起こしていた。
なので(なので?)最近はスーパーで売ってる日清の110円のまぜそばを食べている。
これを初めて食べた時は真剣に感動した。中に入ってる袋はソースだけ!
お湯を入れて、温めて、流して、ソースを混ぜるだけ。そんな単純で簡単な、多くの人が忘れてしまったさいしょのカップ麺の調理方法。
最近のカップ麺は複雑すぎる。「かやく」とか「チャーシュー」とか「ふりかけ」とか、とにかくトッピングが盛り沢山!もう調理するのがメンド~~~ってレベルで多い。誰でも簡単に速くすぐ作れて食べれるはずの即席麺はいつしかその役割を失って単なる”既製品”の枠組みに落ちてしまった。そんな物の在り方を忘れ去ってしまったスーパーやコンビニに溢れかえる†高級志向†のカップ麺に対して、嘲笑うかのように、いや、”カップ麺とは何か”を思い出させるようにして先祖返りしてきたのがコレだ。
そして当然のごとくあまり美味しくない。だけど不思議な事に店で食べるやつとほとんど同じ味がする!!ネギたまねぎニンニクチーズマヨネーズ胡椒タマゴ(黄身だけ)を入れて奥からガッツリ混ぜると完全に鈴の木と同じ味だ!!
写真も載せようと思ったけど、絵面があまりにもケンモメシすぎて動揺、同様、童謡ーーーー
世の中には、このような童謡があります。おそらく、オタクたちの事です。
僕の事です...
おしまい。